春が来たら、桜の花びら降らせてね


「恋をしてたの……」

「冬菜……っ!」

「あっ……」

夏樹君が、我慢できないと言わんばかりに、強く私を抱きしめた。

私より大きな夏樹君の体に、すっぽりと収まる。

まるで、ここが初めから、私の居場所だったみたいに、世界中のどこよりも安心できた。

「好きだ……好きだ、好きだ!」

「な、夏樹君!?」

突然、夏樹君は私を抱きしめたまま叫ぶ。
恥ずかしい……でも、なんて幸せなんだろう。

誰かに求められる幸せを、私は今初めて知った。

「今までずっと、伝えちゃいけねーと思ってたから、言い足りなくて、お前への好きが溜まってんだよ!」

好きの気持ちが溜まるって……。

「ふふっ」

その言い方が面白くて笑うと、夏樹君は私を抱きしめる腕に力を込めた。