春が来たら、桜の花びら降らせてね


「私も、夏樹君が好きだよ」

吸い込んだ息をぜんぶ吐き出す勢いで、告白をした。

「っ……え……」

夏樹君は、まるで息を止めてしまったかのように、驚きに目を見開いて、微動だにしない。

そんな夏樹君に、私はどんどん溢れてくる思いに突き動かされて、思いを重ねて伝えていく。

「夏樹君は、誰かを知りたいと思う気持ち、話したいと思う気持ち、私の失ってしまった心をひとつずつ埋めてくれた」

感謝なんて言葉じゃ足りない。

君がくれた心が、時々悲しみも連れてくるけれど、それすらも私らしく生きている証拠だと、そう思える。

それ以上に、君は私に幸せをくれた。

「失ってばかりの私に、誰かを好きになる気持ちを教えてくれた……っ」

感極まって声が震えて、涙が流れてしまう。
この胸を満たす感情さえ、夏樹君からのかけがえのない贈り物だ。

「夏樹君が私にくれる贈り物はどれも、私のぽっかりと空いた心の穴を、優しさで満たしてくれるんだ。そんな夏樹君に、いつの間にか……」

私は、泣き笑いで夏樹君の顔を見上げる。
私を見つめる夏樹君の瞳も、少し潤んでいるように見えた。