春が来たら、桜の花びら降らせてね


「あたしの方が、先に佐伯に恋してたのにっ」

「園崎……」

夏樹君が、申し訳なさそうに園崎さんの名前を呼ぶ。

それだけで、私は胸が痛んで、自分が嫉妬しているのだと気づいた。

園崎さんも夏樹君も……私さえいなければ、幸せになれていたのかもしれない。

だけど私……やっぱり心の底では、夏樹君と出会わなかったら、なんて考えられない。

何度もそう思おうとしたけど、出来ないのだ。
そんな未来があったと思ったら、怖くてたまらないから。

どんなに自分の気持ちを否定しても、夏樹君のことが好きだから。

「園崎、今まで気づかなくて悪かった」

「佐伯……」

「でも、それで冬菜を傷つけていいことにはならない」

「それ、は……っ」

「園崎も、もう逃げるな」

その言葉に、園崎さんは俯いて、そして静かに頷く。