「冬菜、俺が入学式の日に言った言葉、覚えてるか?」
言われて思い返せば、蘇るあの桜色の季節。
『これから、冬菜にたくさんプレゼントを贈るから』
『でもまぁ、3年あるしな。これから全力で冬菜のことを笑顔にすっから、よろしく!』
そう、夏樹君はあの時そう言った。
どうして初対面なのに、私にそんなことを言うのかが不思議でしかたなかった。
「今度会えたら、俺が奪ってしまった感情を取り戻して、冬菜に色んな嬉しい、楽しいをあげたい。笑顔にしてやるんだって思った」
「…………」
「居場所もプライドも全て捨ててもいい。そう覚悟して冬菜に会いに来た」
人は薄っぺらい居場所を守るために、誰かを傷つけて仲間を作る。
夏樹君も、他の人と同じだと思っていた。
でも、夏樹君と一緒にいるうちに、誰よりも人の痛みに敏感で、優しくて、真っすぐな人だと知った。


