春が来たら、桜の花びら降らせてね


『だから、私は夏樹君にさよならを伝えに来たの』

そう言った今も、迷ってばかりで……。
本当の気持ちに気づかないフリをして、俯きながらそう伝えた。

すると、不意に夏樹君の気配が動いた気がして、反射的に顔を上げる。

「冬菜、俺たちは確かに正反対の道を進んできたよな」

いつの間にか、目の前に真剣な顔をした夏樹君が立っていた。

夏樹君が……こんなに近くにいる。
こうして、至近距離で目が合うのは久しぶりだった。

もう随分と、君と離れていた気がする。

「ぁ……」

トクンッと、心臓が鳴る。
好きな人に対して自然と体が、心が反応してしまう。

それを必死に、心の中で否定することは辛かった。