「アンタさ、佐伯のこといつまで縛るつもりなわけ」

「っ……!」

夏樹君のことを、縛る……。
それは、私が一番自覚している。

だから、園崎さんの言葉は釘を刺しては引き抜いて、もう一度刺すかのように私の心臓をむごく抉った。

私は園崎さんと目が合わせなくて、俯く。
園崎さんに言い返す言葉もない、だって事実だから。

「いつもそう、アンタばかりが佐伯に目をかけてもらえた」

「……っ」

目をかけてもらえただなんて、夏樹君は私に罪悪感があったから、仕方なくしていただけだ。

そうやって私と一緒にいる間、君は心で思っていたはず。

辛い、苦しい、悲しいって、いつになったら私から解放されるだろうって。

そう思ったら、翼をもがれた鳥のように身動きがとれなくなり、もう二度と君の元へ飛べないのだと絶望する。

「喋れないから、可哀想だから、そうやって佐伯の親切心を利用して、あたしから佐伯を奪わないでよ!!」

親切心を利用して……か、痛いな。
確かに私は、夏樹君から無条件に優しさをもらってた。

それが可哀想だからって理由なら……悲しすぎる。