紅葉と一緒に届いたのは、夏樹君の曇りない想いだった。
「っう……」
夏樹君……。
君を想うと、ハラハラと桜が散るように涙が降る。
君を想うと、紅葉が朱く染まるように、好きが深くなる。
紅葉の花言葉って、確か……大切な思い出だ。
君はこの紅葉を見ながら、手紙を書きながら何を想っていたんだろう。
私と過ごした時間を、大切だと思ってくれていたのかな。
そう思ったら嬉しくて、私たちを縛る過去があまりにも切なくて、涙が目に滲む。
夏樹君は今、罪滅ぼしのために私のそばにいるんじゃない。
それがわかっただけで嬉しい。
なのに、まだ夏樹君を信じることが怖いと思う。
裏切られる瞬間を知ってしまうと、踏み出すことが怖くなってしまうのだ。