春が来たら、桜の花びら降らせてね


「何が?」

「琉生だって冬菜のこと……今はチャンスだろ」

「……俺は、心が欲しいんだ。だから、それが得られないならせめて、幸せになるまで見届けたい」

「お前……」

「だから、早くけじめをつけるんだな」

そう言って小さく笑った琉生君が、今度は私に向き直る。そして、優しく掬うように手を掴んできた。

琉生君……?

一体、何をする気なのか、意図が読めずに困惑する。

「行こうか、冬菜ちゃん」

どこへ……?

笑顔の琉生君に手を引かれるまま、私は裏庭の奥へとどんどん歩き出す。

ふいに夏樹君のことが気になって振り返ろうとすると、「今は振り返らない方がいい」と琉生くんに止められた。

どういう意味か知りたくて、琉生君の横顔を見上げると、優しい眼差しで見下ろされる。