春が来たら、桜の花びら降らせてね


「冬菜、話がしたいんだ!」

「っ……」

話すことなんかない。
もう、誰かに踏み込むのはやめるって決めたんだ。

なのに、どうして追いかけて来たりするのと、夏樹君を責めたい気持ちになる。

君に会うたびに胸の傷が、痛むからだ。

「少し、時間をくれないか?」

「……お前たち、なんかあったのか?」

そんな私たちを、琉生君が驚いたように見る。

「琉生、わりぃけど、冬菜借りる」

「っ……や!」

夏樹君に手首を掴まれた私は、乾いた音を立てて勢いよくその手を振り払った。

「ふ、冬菜……?」

「……っ、はぁ、はっ」

どうしよう、つい振り払っちゃった。
だけど今は、決意が揺らぎそうになるから、夏樹君とふたりきりになりたくなかった。

私はどうしたらいいのかわからず、振り払った手を胸元に引き寄せて俯く。