「それでー、原田地蔵はぁ?」

園崎さんの残虐な視線が私に向けられる。
それだけで気分が悪くなった私は、口元を手で押さえた。

「地蔵の役かなぁー、あははっ!」

園崎さんの言葉にワッとクラスに笑いが沸いた。
しかも、教育実習生まで笑う始末で、心底ここにいる人間のあさましさに嫌気がさした。

「なにそれ、ウケル!」

「ぶっ、シンデレラに地蔵の役とか出なくね?」

「あははっ、確かに!」

あぁ……なんか、無駄だなこの時間。
自分の役割だけ言って、抜け出しちゃおう。

そう思って席を立とうとすると、「はーい」とこの場の空気を壊す声が教室に響いた。

私は腰を上げたまま、斜め前の席で手を上げている人物を呆然と見つめる。

「園崎さんはシンデレラっていうより、いじわるな継母役が合うと思うので、推薦しまーす」

そう、声を発したのは誠君だった。