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「俺はまた、繰り返すのかよ!!」

廊下に、今すぐにでもみっともなく、泣き崩れてしまいそうだった。

あの日、今よりずっと若い冬菜の背中を、もう一度振り返って見た時のことが、頭から離れない。

今にも掻き消えそうなほど儚いモノに見えて、俺はまた、追いかけて彼女に近づくことを恐れた。

「せっかく……ここまで追いかけて来たってのに!」

たまたま、小学校の時の同級生が冬菜と同じ中学校にいることを知った俺は、冬菜が受ける高校のことを聞きだした。

冬菜の受ける高校は偏差値がめちゃくちゃ高く、同じ高校を受けると言った俺を、担任や周りの友人には無理だって笑われた。

けど、もしまだ間に合うのなら、彼女の背中を追いたい。

その一心で必死に勉強をして、念願だった冬菜と同じこの高校に入ることができた。

高校に入って、冬菜が同じクラスのしかも隣の席だと知って、傲慢だと思うが、運命だと思った。

「今度会えたら、冬菜に色んな嬉しい、楽しいをあげたい。俺が悲しませたぶん、笑顔にしてやるんだって……っ」

そう決めたのに、俺はまた冬菜を傷つけた。