春が来たら、桜の花びら降らせてね


「な、なに……どうしたの佐伯。佐伯だってこっち側でしょ?」

園崎さんは、困惑したように夏樹君に近づく。

そんな園崎さんを拒むように、夏樹君は鋭く睨みつけた。

「お前、いつまでこんなこと続けてんだよ。冬菜の気持ちを考えたら、今やってることがどんだけ最低なことかわかるだろ!」

「な、なに言ってんのよ!そもそも、原田地蔵ってからかったのは夏樹じゃん、今更無かったことにする気!?」

「小学生の時の俺とは違う。自分のしたことの重さを、理解してるからこそ、言ってんだ」

夏樹君は……後悔してるって言ってた。
その罪が忘れられなくて、苦しんできたのも知ってる。

だって、そばで見てきたから。
まさか、夏樹君の忘れられない人が私だったなんて、思ってもみなかった。

平然と君の力になりたいだなんて……馬鹿だよね。
私は佐伯君をずっと憎んでいた。

でも、夏樹君と出会って救われて、君を好きになった。

佐伯君と夏樹君は同一人物のはずなのに、私はまだ、別人として見ようとしている。

でないと、苦しくて痛くてたまらない。
嫌いなのは佐伯君であって夏樹君じゃない。

そう思いたいのに、現実は甘くない。
佐伯 夏樹は、私の心を壊し、癒した人だった。