「なー、原田地蔵って何?」
「園崎さんたち知り合いなの?」
騒ぎを聞きつけたクラスメートが、ワラワラと街灯に集る蛾のように集まって来る。
「っ……はぁっ」
なんか、息苦しい……。
注目を浴びてることに、体が小刻みに震える。
私はみんなに気づかれないよう、小さく息を吐き、無意識に喉をおさえた。
「うちら、小学校一緒なの。で、原田地蔵ってのは、佐伯が喋らない原田が地蔵みたいだからってつけたあだ名」
ドンッと、私の机に園崎さんが平然と座る。
平気で人のテリトリーを荒らすところも、何もかも変わってない。
「ぶっ、ぴったしじゃん!」
「つか、夏樹ってば原田のこと庇ってたくせに、案外エグイあだ名つけんのな」
「今度から俺らも原田地蔵って呼ぼーぜ!」
クラスに笑いが沸いて、表情がスッと消えたのが自分でもわかった。
心が冷たくなっていき、静かに閉じていく感覚。
この感覚、久しぶりだ。
いっそ、そのまま感情すべてが消えてしまえばいいのに。
私は辛い現実から目をそらすように、そんなことを考えていた。


