春が来たら、桜の花びら降らせてね


「冬菜、こんな形で……知られる形になって……ごめん」

夏樹君が、私に頭を下げた。
ということは、全部わかっていて私に近づいたんだ。

深い絶望の波に攫われて、沈んでいきそうになる。


どうして……どうして?

私のこと、騙してたの?

それで、隠れて笑ってた?

頭には、処理しきれない疑問と悲しみが溢れている。

信じたくない事実と蘇る過去に、私はただただ、言葉を失っていた。





ホームルームが終わると、園崎さんは真っ先に私たちの所へとやってきた。

「原田地蔵、まだアンタ喋れないままなの?」

バカにしたような笑みを浮かべて平気で傷を抉る、この人は何も変わって無い。

私は悔しいのに、何も言い返せなくて唇を噛む。

「てかてか、佐伯も原田地蔵の隣とか、小学生の時からじゃない?呪われてんじゃん!」

知らないよ、そんなの……。

私もあの佐伯君とまた隣の席になるなんて、思ってもみなかった。

なにせ、夏樹君の正体を私は知らなかった。
だから、何も知らずにのほほんとしていられたんだ。