「原田って、まさか原田地蔵?」
……え?
今、園崎さんはなんて言ったんだろう。
そのあだ名は、あのクラスの人間にしかわからないはずなのにと、頭が真っ白になる。
私の過去を、知っているこの人は……誰?
「どこかで見たことあると思ってたんだぁ~。まさか、原田地蔵の高校に転入してくるとかすごい偶然!」
「やめろ、園崎!」
「なんでよ、佐伯が原田地蔵ってあだ名つけたんじゃん」
佐伯がって……夏樹君が?
何言ってるの、夏樹君はあだ名のことなんて知らないはず。
なのにどうして、違うって、何の話だよって否定しないの?
なぜ、夏樹君は青い顔をしたまま、黙っているのだろう。
「喋らない、無表情で地蔵みたいだからって、佐伯がつけたんじゃん、原田地蔵って」
「……う、そ……!」
待って、佐伯 夏樹って、園崎 咲って……。
嘘、でもまさかそんなこと、ありえない。
なのに、胸の奥底で疼く傷が、主張してくる。
今感じている嫌な予感に、確信がある。
出会った時もどこかで、聞いたことがある名前だっと思った。
今の今まで忘れていたのは……信じたくなかったからだ。


