「家ではペラペラなの!?」
琴子ちゃんに頷くと、「えぇーっ!」とものすごく驚かれた。
「琴ちゃん、しーだよ」
「あ!ごめんねふゆにゃん」
琴子ちゃんの声に何人かは振り向いたけれど、すぐに興味を失ったように視線が外れてホッとした。
私は申し訳なさそうな顔をした琴子ちゃんに大丈夫だよ、そういう意味を込めて笑みを返す。
『家でも、話せるのは家族と親戚でも特に親しい人たちだけだったな』
しかも、話そうとすればするほど、緊張で体がこわばる。
悪循環だった、心で望むほど喉が締まっていくから。
「琴子、そういう病気があるの、知らなかった」
「あまり知られてね―病気だからな」
「なぁんだ、夏樹は知ってたの?」
「あぁ……色々あってさ」
夏樹君は琴子ちゃんに曖昧に答えた。
過去の事、きっと言いたくなかったんだんだろう。
そう、過去はいつも付き纏う闇のように、心を酷く締め付けるから。


