春が来たら、桜の花びら降らせてね


「家ではペラペラなの!?」

琴子ちゃんに頷くと、「えぇーっ!」とものすごく驚かれた。

「琴ちゃん、しーだよ」

「あ!ごめんねふゆにゃん」

琴子ちゃんの声に何人かは振り向いたけれど、すぐに興味を失ったように視線が外れてホッとした。

私は申し訳なさそうな顔をした琴子ちゃんに大丈夫だよ、そういう意味を込めて笑みを返す。

『家でも、話せるのは家族と親戚でも特に親しい人たちだけだったな』

しかも、話そうとすればするほど、緊張で体がこわばる。

悪循環だった、心で望むほど喉が締まっていくから。

「琴子、そういう病気があるの、知らなかった」

「あまり知られてね―病気だからな」

「なぁんだ、夏樹は知ってたの?」

「あぁ……色々あってさ」

夏樹君は琴子ちゃんに曖昧に答えた。
過去の事、きっと言いたくなかったんだんだろう。

そう、過去はいつも付き纏う闇のように、心を酷く締め付けるから。