「あ、今日な、朝起きたらルディが腹の上にいてさ。あいつでけーのに、苦しいのなんのって」

「…………」

どうしよう、夏樹君がせっかく話してくれてるのに、会話が全く耳に入ってこない。

夏樹君がそばにいることが、こんなにも緊張する。今まで隣の席で普通にしてられた自分が信じられないくらいだった。

「って、冬菜、聞いてっか?」

ポンっと夏樹君の手が私の頭に乗った瞬間、ガタンッと椅子が後ろに傾くほどに、身をのけ反らせてしまった。

……あ、やってしまった。
そう気づいた時にはすでに遅く、目を見開いている夏樹君と真正面から目が合う。

「ふ、冬菜?」

――あぁ、もう!
夏樹君を好きだと気づいてから、どうもいつも通りに振るまえない。

自分の心臓が、体が、自分のものじゃないみたいに騒いだり、固まったり。