「あ……」

また寂しそうに笑ってる。
辛いあの過去を、思い出してるのかなと思った。

そう、夏樹君の優しさは、温かくて悲しい。
私に好きだったあの子を重ねているからこそ、夏樹君は私に心を裂き、尽くすのだと思うと……。

生まれたばかりの淡い不安定な恋の炎に、水をかけられたように。

この朝顔の藍色のような、涙色の切なさも運んでくる。

夏樹君がその罪から救われるには、どうしたらいいんだろう。

私にできることがあるのなら、何でもするのに。

「……ありがとう」

ぎこちなく笑って、なんとかお礼を言えた。
初めて知った恋は……。

炎のように熱く焦がれるようで、温かく幸せな気分にもなり、朝顔の藍色のようにちょっぴり切なく、痛かった。