愛読書の一節を思い出した。

【恋はわがままに燃え、想いを押し付ける一方的で熱い太陽のような感情である。】

さっき、どんな形でもいいなんて言ったけど嘘だ。

本当は私……君の中の特別になりたいと思ってる。

それはきっと、私の一方的な想いで、押し付けで、太陽のように熱い感情。



この気持ちはきっと……〝恋〟だ。

「っ……花も、ありがとう」


動揺を隠すように言った。

そっか、私は夏樹君を好きになってしまったんだ。

気づいたら、もう止められない。
溢れてくる想いが、熱い血潮のように全身に駆け巡る。


「私、夏樹君からもらってばかりだね」

もう一生しないと思っていた恋ですら、君はくれた。

「俺は……冬菜になにかしてやりやくて、しょうがねーんだ」

夏樹君の長くて、細くて骨ばった指が、目尻にぷっくりと膨れて留まる私の涙を掬った。