春が来たら、桜の花びら降らせてね


「えーと、冬菜、起きれるか?」

「あ、うんっ」

夏樹君も気まずさと恥ずかしさを足して2で割ったような顔で手を差し出したので、私も俯きながらその手を掴んで起き上がる。

そして、どちらともなくパッと手を離した。
気まずい、どうしよう、何か話題無いかな……。

困り果てていると、夏樹君が「あ!」と声を上げてふいに立ち上がる。

急に立ち上がってどうしたんだろう?
不思議に思って「夏樹君?」と声をかける。

「いいもんみっけた」

「いいもの……?」

先ほどまでの気まずさはどこへやら、夏樹君は鼻歌でも歌いだしそういなほど上機嫌で、見ていた私の中でも好奇心が騒ぎだす。

夏樹君、本当に何してるんだろう。
その姿を視線で追えば、夏樹君が公園にある花壇の前でしゃがみ込んでいた。

よく見ると、何かを拾ってるみたいだった。