【短編】生け贄と愛

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 取り残されたシルヴェスタは、ルリが運んできたお茶を飲みながら、ついさっきのアカネの言葉を思い出していた。

ロゼを先に隣に向かわせた後のことだ。


『シルヴェスタ。貴方には本当に困らせられますわ』


『そうか、それはすまないな』


『──でも、感謝していますわ』


『何だ、気持ちの悪い』


『私も貴方も、長寿の生き物ですから。長いお付き合いでしたけれど…それももう少しですわ』


『どういう意味だ』


『お別れする時も遠くないという意味ですわ』


全く意味が分からなかったが─それでも、アカネが殊勝になっている辺り、並々ならぬものを感じた。

果たして、“神”である彼女に寿命などあるのか。

言うなればシルヴェスタとアカネは互いに初めて出来た友であった。

それを失うのはどれほど痛いことか。

日常的に考えたくなるような話題ではない。

しかし悪戯にしては悪質すぎる。


シルヴェスタはまた、飲み慣れない味のお茶に口をつけた。

渋味が舌に直接伝わり、彼は大きく顔をしかめた。