◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
朝。
眩しい光で目を覚ましたロゼは、ふとサイドテーブルに置いてあるタイに気がついた。
名前はアスコットタイ、だったろうか。
いつか服飾関係の本で見たことがあったなと教会の図書室に思いを馳せる。
紫色の艶のある生地だ。
持ち主であろうシルヴェスタを目で探す。
ロゼはまだ歩けない。
しかし部屋にいないならば目だけで探すことは不可能で、すぐに断念する。
諦めて目を閉じ耳をすませるものの、物音ひとつしない。
鳥の歌声が聞こえてくるばかりだ。
シルヴェスタを探すことすら諦めて、ロゼはじっとタイを見つめてからそれを手にとった。
ふわりと香った甘い匂いに、シルヴェスタの香りだ、と思ってしまってから赤面する。
何を考えているんだ、と自分を叱りながらもアスコットタイを手放す気にはなれなかった。
自分が図々しくも避けてしまっている相手。
どうしてこれだけがロゼの部屋にあるのか。
どこかへ行ってしまったのだろうかと勘繰ってから、当たり前だと思い直す。
シルヴェスタとてずっとロゼの傍に居るわけではないのだ。
買い物にも行くし、付き合いだってあるだろう。
今は一人ということになるのか、と納得しかけて──寒気が走った。
一人。歩けない。助けは呼べない。
「シルヴェスタ……」
怖い、と思うなり視界が霞み始めた。
自分がどれほど彼を信用していたことを、ここで思い知らされるとは思ってもみなかった。
一人なんて慣れているのに。
屋敷のどこかに彼がいるだけで彼女はどこか安心していたのだった。
朝。
眩しい光で目を覚ましたロゼは、ふとサイドテーブルに置いてあるタイに気がついた。
名前はアスコットタイ、だったろうか。
いつか服飾関係の本で見たことがあったなと教会の図書室に思いを馳せる。
紫色の艶のある生地だ。
持ち主であろうシルヴェスタを目で探す。
ロゼはまだ歩けない。
しかし部屋にいないならば目だけで探すことは不可能で、すぐに断念する。
諦めて目を閉じ耳をすませるものの、物音ひとつしない。
鳥の歌声が聞こえてくるばかりだ。
シルヴェスタを探すことすら諦めて、ロゼはじっとタイを見つめてからそれを手にとった。
ふわりと香った甘い匂いに、シルヴェスタの香りだ、と思ってしまってから赤面する。
何を考えているんだ、と自分を叱りながらもアスコットタイを手放す気にはなれなかった。
自分が図々しくも避けてしまっている相手。
どうしてこれだけがロゼの部屋にあるのか。
どこかへ行ってしまったのだろうかと勘繰ってから、当たり前だと思い直す。
シルヴェスタとてずっとロゼの傍に居るわけではないのだ。
買い物にも行くし、付き合いだってあるだろう。
今は一人ということになるのか、と納得しかけて──寒気が走った。
一人。歩けない。助けは呼べない。
「シルヴェスタ……」
怖い、と思うなり視界が霞み始めた。
自分がどれほど彼を信用していたことを、ここで思い知らされるとは思ってもみなかった。
一人なんて慣れているのに。
屋敷のどこかに彼がいるだけで彼女はどこか安心していたのだった。


