「ほな、帰るわな」



立ち上がると、新羽くんは軽やかに入口まで駆けていく。



それを呆然と見送るあたし。



そしておもむろにポケットから何かを取り出した。



それは、あたしが新羽くんにあげたお守り。



「これ、もらっとく。ゆめちゃんと俺を繋ぐのは、今んところこれだけやからな」



カズマがくれた、どんな願いでもひとつだけ叶うお守り……。



あたしはそれに新羽くんの願いを託したの。



だってとても深刻だったし、あたしのおまじないだけじゃ叶わないかもって心配だったから。



「う……うん。それはもう、新羽くんにあげたものだから」



「ありがとな。ほなまた」



嬉しそうな顔で去って行く。



新羽くんがさっきあたしに囁いた一言が、ずっと耳に残っている。



『好きや』



……って、言われたの。



真面目な話って言った……よね!?



こんなの困るよ……。