「お前の口から聞くのは無理だよな。俺が犯人突き止めて懲らしめるから…待ってろ」



「だめ!カズマは動かないで」



「そんなこと言っても、このままでいいわけないだろ?」



「いいの。きっともう、なにもしてこないはず。1組のみんなが証人になるって言ってくれた。それだけで十分なの。ありがとう、カズマ」



ぎゅっとしがみついてくる。



仕返しすらできない…本当にもう大丈夫なのか?



心配だけど、ゆめがそう言うなら下手に動くわけにもいかない。



「なにかあったら、すぐ俺に言えよな」



「うん」



顔を上げたゆめは、もう泣き顔じゃなく眩しいほどの笑顔だった。



この笑顔を一番近い場所でいつも見ていたい。



ゆめの全てを独り占めしたい。



無理だとわかっていても、もしそれが可能になるなら俺はなんだってする。



そうすると決めたからには、もう後戻りできない…。