高校2年生になったばかりの頃、教室の窓から見える桜並木は満開だった。


「鈴原さん、お願いがあるんだけど……菅波君のノートでてないから、職員室に来るようにって言っといてくれる?」


そして付け足すように、
「あ、わかってると思うけど、もちろん菅波兄のほうね」


担任の先生に呼び止められ、わたしは膨れっ面で振り返る。



「先生、なんでいつもわたしに言うんですかー?わたしは秋人のお守り役じゃないんですけど!」