原画や歴代のアニメや映画の資料やパンフレット、戦士達の実物大フィギュアや所狭しと並べられたグッズ等に橘の存在を忘れる程に夢中になり閉館になるまで見入ってしまった



「閉館です」とスタッフの人に声を掛けられ、恥ずかしくて慌てて退場すると、出口で橘がクスクスと笑っていた



穴があったら入りたいってこういうことかと実感しながら橘から顔を背けて歩き出す



「上で飯食ってこう」



そう言ってエレベーターではなくエスカレーターへ促される



10階建てのデパートの9階と10階は飲食店街になっていて、そこだけ遅くまで営業している




数ある飲食店の中から和食の定食がメインのお店に入った



お店を決めるのは大抵橘だけど、食の好みが似てるのか橘が気を遣ってくれているのか橘から提案される店に異議を唱えたことは10年以上友人をしていて1度もない




前者なら橘と結婚してご飯に自分が食べたいものだけ作っても文句言われなさそうね



って



今の関係を変える勇気もないのに何ぶっ飛んだ妄想してんのよ私ってば



頭の中で焦り妄想に突っ込みを入れながらメニューを眺める