「げぇ…すげぇ部屋」と大也は口に出して引いていたけど、さつきの傷跡を見た俺には理解できた


これらはさつきの心の支えなのだと



「ラグビーオタクの大也といい勝負だな」



好きなものが美少女戦士ものなだけで、ラグビーが好きで大学でも本気でやって暇さえあればトレーニングしている大也と変わらないだろ?と大也を納得させる



とは言え、この部屋は付き合う男には見せられないよな



さつきが選んできた男共はさつきの外見しか見ていないんだから



早く俺の存在に気付けよ







心の中でいくら念じたってさつきが気付くはずもなく、大学3年の終わりの春休みに帰省した時に実家の近くの商店街で偶然にもさつきのお母さんに会った



「あら橘くん?」と声をかけられ振り返ると以前と変わらず優しい微笑みのさつきのお母さん


「こんにちは、お久しぶりです」



「久しぶりねぇ。さつきがいつも迷惑かけてごめんね」


社交辞令の挨拶に「そんなことないですよ」と首を振る



「友達も少ない子だし、これからもよろしくね」

「こちらこそです。」


「橘くんがいたら安心ね。またね」と手を振りながら精肉屋に入っていくお母さんに「さつきさんはちゃんと守ります」と手を振り返しその場を後にする