高校1年が終わる頃に気付いたことがある



さつきと一緒にいると告白される回数が少ない。そして相手がさつきだから相手の諦めもいい



良い友人に出会えたなとか呑気に思っていた





あれはちょうどそんな時期だった


中学の時からバレー部だった俺は高校でもバレー部に入り、いつものように体育館で練習をしていた


スパイク練習中で自分の打ったボールを拾いに体育館の壁際に行った時に開けていた通気用の窓から聞こえたさつきの声…と数人の男の声


うん、いい雰囲気ではないな…



「キャプテン、漏れそうなんでちょっとトイレ行ってきます」とボールを置いて、脱いであったジャージを手に持って急いで外に出る



シューズも履き変えずに声のした方に行くと入学当初からさつきにしつこく告白を繰り返していた先輩がさつきのカッターシャツを引きちぎる瞬間が目に入る



「先生こっち!」


いもしない先生を呼ぶ声を出して男達を追い払う



胸元を押さえしゃがみ込んでいるさつきに近付く



「さつき」


いつも凛としているさつきが蹲り嗚咽を洩らしている姿に体の奥の方で何かが灯る



持ってきたジャージを蹲るさつきに掛けて「ごめん気付くのが遅くなって」と声を掛ける