私の言葉に橘は悲しそうに微笑む


「そんなに自分を卑下するなよ」


卑下?私の考えは事実ではなく卑下なの?



「さつきの胸の傷跡はさつきが生きている証なんだから」



言われた言葉に目の奥が熱くなり橘から目を逸らし前を向く


手術をしなければ私の命はもうとっくに消えてるはず



「その傷跡のこと理解できない奴に見せる必要も体を許す必要もないだろ」




「ねぇ…橘が私を守ってくれるのは友達だから?」


こんなこと顔を見ては聞けなくて、前を向いたまま問う




「ただの友達がここまで必死に守るかよ」



そう笑って立ち上がり、「行くぞ」と歩き出す



ねぇ



それは期待してもいいってこと?



ドキドキと煩い心臓を押さえて橘の後ろをついていく



吹き抜けていく風が私の髪を揺らしていった