「さつきちゃんは大也くんの匂いはなんとも思わないけど、橘さんの匂いは好きって気付いてるじゃない」


「私は大也くんの匂い好きだけどね」と付け足してローストビーフを口に放り込む杏さん


これ以上のことは教えてくれる気はなさそうね



その後は美味しい料理を肴に子どもの話や旦那の話を聞いた



途中、オムツ替えや授乳タイム、お昼寝タイムがあり杏さんも佳香さんもすっかりお母さんだなぁなんてしみじみ思ったり



吉野さんが作ってくれた大量の料理はいつも食べきれずに残るので、杏さんと私が毎回タッパーを持参していて、持ち帰るためにどちらが綺麗に詰めるかと競ったり





ひたすらに楽しい時間を過ごし、佳香さんの家を出る



玄関先で杏さんが子どもを腕に抱いて庭に聳えるシンボルツリーを見上げる



「桜も散ったし、もうすぐナンジャモンジャも咲くわね」


「ナンジャモンジャ?」


杏さんの言葉に疑問符しか浮かばない


「この木、ヒトツバタゴっていう木なんですけど、別名がナンジャモンジャって言うんです」


見送りに出てきている佳香さんが説明をくれた




「GWくらいに葉の上に咲く白い花が雪みたいでとても綺麗なのよ」


そう言って微笑む杏さんの横顔はとっても綺麗だった



ナンジャモンジャ…



GWに探して見ようかな…