「警察?俺が彼女を襲ったとでも?」


この後に及んで白を切る堀内さんに不敵な笑みを見せる橘


私の横に落ちていた鞄を拾い上げ外側のポケットから取り出したものは


営業ひとりひとりに持たされている会社のスマホ


私はスマホは持たされていないから、会社を出る時のエレベーターの前で襟を直された時に鞄に仕込んだんだと気付く





取り出したスマホを鞄を持つ手に持ち替え、堀内さんに見せた画面は通話中の画面



「電池が切れる前に動いてくれて良かったですよ」


と、胸ポケットから取り出されたプライベート用のスマホは通話録音中のアプリの画面



「スピーカーにしていたので雑音は混じりますが、会話はハッキリと聞き取れてますよ」


「盗聴は犯罪だろ?」


「盗聴?さつきが通話を切り忘れただけですよ。防犯のための通話録音は日本では推奨されてますからね」


そう言ってプライベート用のスマホを胸ポケットに戻し、会社用のを私の鞄に戻す


「ちっ」と舌打ちをして、「おたくとの契約もなくなるかもな」なんて捨て台詞を吐いて闇へ消えていった堀内さん


そう言えば取引先だったわね…なんて考えていると「さつき」と私の名前を呼び目の前にしゃがみ込む