彼と私の優先順位

「……慧を待つことができなくて。
慧を信じきることができなくて。
慧への想いが深くなればなるほど不安になって……その気持ちに疲れてしまっていた自分を思い出してしまったの」

そう。

不安だった。

怖かった。

私ばかり我慢している、そう思っていた自分。

失ってしまうことが恐くて、嫌われたくなくて、不安や不満をうまく口に出せずにいた。



好き、という純粋な気持ちをのみ込んでしまう程の疑念はいつも背中合わせにあって。

醜い自分がどんどん出てきていた。

知りたくなかった自分の弱さとズルさ。

このままだといつか私は私に疲れて、慧のことを嫌いになってしまう、そう思ってしまった。

自分が嫌いな醜い自分になりたくなかった。

そんな自分を慧に見られたくなかった。



……だから別れを選んだ。

頑張れなかったから。

辛かったから。

嫌われたくなかったから。

嫌いになりたくなかったから。

もうこれ以上ズルい自分を見たくなかったから。

一人で決めた。



ポン、と私の肩に亜衣の温かい手が触れた。

「……知ってる。
わかってるって言ったでしょ?
……でもね。
あれから長い時間が過ぎたの。
慧も結奈ももう高校生じゃないの、大人なのよ。
……変わったこと、たくさんあるでしょ?」

「……うん」

「焦らないで。
……慧は早く返事を欲しがるかもしれないけれど、今の慧をきちんと見て、それから決めてみたら?」