彼と私の優先順位

亜衣の言葉に私は力なく首を横に振る。

「違うの、違うんだよ……」

心配そうに私を見つめる亜衣に、私はギュッと手を握りしめて話を続ける。

「……亜衣の言う通り。
慧への気持ちを思い出に変えられなかったのも本当。
好きな気持ちを断ち切れなかったことも。
……大丈夫だって思っていたの。
最近は慧の夢を見ることも、慧に似た人を見かけて立ち止まってしまうこともなくなってきたから。
……だけど……」



思い知ってしまった。

慧に再会して。

自分の中に眠っていた、眠らせていた慧への気持ち。

隠していた慧への想いを。

私は自分が理解している以上に慧を好きだった。



慧の告白は。

泣きたいくらいに嬉しかった。

驚いたけれど。

再会できたこと以上に。

慧の気持ちが嬉しかった。



だけど。

……閉じ込めていた気持ちの扉が開くと同時に。

不安の扉も開いてしまった。