彼と私の優先順位

ほどなくして、亜衣がやって来た。

「夕御飯買ってきたよ!
一緒に食べよう」

ビニル袋を提げて笑う亜衣に、私もつられて笑顔を返す。

ローテーブルに所狭しと並べたお惣菜を箸でつつきながら、亜衣が私に話しかけた。



「で、どうしたの?
明日会う約束していたのに電話なんて」

「……慧に会ったの」

ポソリと言った私に亜衣が丸い瞳を見開いた。

「いつ?
何で?
何処で!」

グッと握りしめた箸をそのままに矢継ぎ早に尋ねる亜衣に、私は今日の出来事を話した。



「……へぇ、慧、とうとう動き出したんだ……」

箸を置いて頬杖をつく亜衣に、今度は私が目を見開いた。

「どういうこと?」

「……うーん、今まで結奈には黙っていたんだけど……」

口ごもりながらも亜衣は話してくれた。



あの日。

慧と私が別れた日から。

慧と私は連絡を取らなくなった。

お互いにそういうルールを決めたわけではなかったけれど。

別れると自分が決めた手前、私は連絡をとることを避けていた。

連絡をとって、会ったり声を聞いたりしてしまったら、きっと泣いてしまうから。

寂しさに囚われて。

別れたことを後悔して動けなくなるだろうから。