「ごめん、遅くなって。
寝てた?」
「ううん、起きていたよ……約束したし」
約束、という言葉を慧に意識してもらいたくて使う。
「……待たせてごめん。
ちゃんと話、した。
もう大丈夫だから。
今後……彼女と二人で会うことはないから。
明日から一緒に帰ろう」
いつも通りの柔らかい慧の声に。
スマートフォンを強く握りしめていた指から力が抜ける。
「……うん」
返事をするだけで精一杯。
不安を吐き出すように大きく息を吐いた。
「……これから、よろしくね、彼女サン」
低く、甘い声が耳を震わせる。
その声に、私の体温が上がる。
「えっ、あっ、うん。
よ、よろしくお願いします……」
しどろもどろの私にクスッと笑う慧。
「……じゃあ、また明日。
おやすみ、結奈」
「お、オヤスミ」
通話を終えて、しばらく私はスマートフォンを握っていた。
一日の終わりに、慧の声を聞ける日が来るなんて。
慧の一番近い場所にいられるようになるなんて。
本当に夢みたいで嬉しくて。
その余韻を噛み締めている自分と、まだ手放しに喜べずにいる自分が小さく小さく私の心に巣くっていた。
寝てた?」
「ううん、起きていたよ……約束したし」
約束、という言葉を慧に意識してもらいたくて使う。
「……待たせてごめん。
ちゃんと話、した。
もう大丈夫だから。
今後……彼女と二人で会うことはないから。
明日から一緒に帰ろう」
いつも通りの柔らかい慧の声に。
スマートフォンを強く握りしめていた指から力が抜ける。
「……うん」
返事をするだけで精一杯。
不安を吐き出すように大きく息を吐いた。
「……これから、よろしくね、彼女サン」
低く、甘い声が耳を震わせる。
その声に、私の体温が上がる。
「えっ、あっ、うん。
よ、よろしくお願いします……」
しどろもどろの私にクスッと笑う慧。
「……じゃあ、また明日。
おやすみ、結奈」
「お、オヤスミ」
通話を終えて、しばらく私はスマートフォンを握っていた。
一日の終わりに、慧の声を聞ける日が来るなんて。
慧の一番近い場所にいられるようになるなんて。
本当に夢みたいで嬉しくて。
その余韻を噛み締めている自分と、まだ手放しに喜べずにいる自分が小さく小さく私の心に巣くっていた。

