彼と私の優先順位

帰り道。

指を絡ませて手を繋ぎながら。

私達はホームで電車の到着を待っていた。

夜遅いこの時間、ホームには私達以外の人影はない。



「……ここからだったら私、実家に帰った方が早いかも。
慧もじゃない?」

ホームにかかる壁時計を見ながら何気なく呟くと。

慧に、思いきり不機嫌な顔を向けられた。

「……ふーん。
結奈は実家に帰りたいんだ?」

「え?
いや、帰りたいとかじゃなくて、近いってだけだよ?」

「……やっと誤解が解けて、気持ちが通じて、これからずっと一緒にいようって誓い合った大事な日なのに?
結奈は……俺といたくないわけ?」

「えっ!?」



拗ねたように私を軽く睨む慧に。

慌てて口を開く。



「ち、違うよ、慧といたいよ!
そういう意味じゃなくて、ただ実家が近いっていうだけ!
それだけだよ!」

「ふーん……じゃあ今日は一晩中、俺と一緒にいてくれる?」

「う、うん!
って、えっ!?」

「ハハッ、冗談!
いきなり今日はさすがに、な」




真っ赤になった頬を押さえながら慧を睨む私に。

「それはまた近いうちに」

私のつむじに柔らかいキスを落とす慧。

ドキン!

……心拍数が信じられないくらいに上がる。




必死で話題を変えようと、気になっていたことを口にした。

「……ね、慧。
……もし私が告白しなかったら、二ヶ月付き合ってどうしてた?」

ズルい質問かもしれないと思いつつ尋ねると。

「……その時は無理矢理でも理由こじつけて、別れずに付き合い続ける、かな。
結奈に告白してもらえるまで、毎日俺が好きだって告白して」

平然と言ってのける慧に。

「えっ!」

尋ねた私のほうが狼狽える。



「だから、もう絶対離さない。
これから先、結奈の隣りにいるのは俺だけだから」

そう言って私をギュッと抱きしめる慧に。

やっぱり敵わない。