彼と私の優先順位

「……結奈」

少しだけ身体を離して話す私を、慧は戸惑ったような表情で見つめる。



「……ごめんね、慧。
私、自分のことしか見えていなかった。
慧には慧の考えや思いもあったのに。
自分は変わろうとしないで、慧が変わってほしいって思ってばかりで。
……慧の気持ちは慧にしかわからないのに。
他の人から聞いた話ばかりを鵜呑みにしていた。
一番大事なのは、私が慧をすごく好きだってことなのに」

一気に捲し立てて。

私は小さく深呼吸をする。



「慧。
私と付き合ってください」



慧は何も言わない。

一秒、二秒……沈黙がとてつもなく長い時間のように感じられる。

慧のワイシャツの上に置いた手の平が緊張で、震えそうになる。



返事が恐くて目を逸らしたいけれど、逃げちゃいけないと思ってじっと慧を見つめる。

慧がゆっくりと目を細めて、端正な顔立ちを私に近づけて囁いた。




「……本当に?
結奈はそれでいいの?」

私はコクン、と力強く頷く。



流されているわけでも押しきられているわけでもない。

私の意思で、返事をしていることを少しでも伝えたくて。

震えそうになる足にグッと力をこめる。



「慧といたいの。
……やっとわかったの。
私だけが我慢したり、頑張っているわけじゃないんだって」