彼と私の優先順位

電車を乗り継ぎ、遊園地がある駅に降り立った。

閉園時間が過ぎた駅に人の姿は殆どなかった。

日が落ちた後のぬるい風が剥き出しの腕にあたる。



……ここに来るのはあの日以来。

あの日。

向かいのホームで、私は泣きながら電車を待っていた。



涙はこんなにも溢れるものなのだと初めて知りながら。

人目を気にする余裕もなく、ただただ、慧がいなくなってしまった悲しみと喪失感に耐えきれずに。



あの時の自分の姿が今の自分に重なる。

あの日の私が今の私を見たらどう思うだろう。

あの頃より少しは大人になったと思っていたけれど。

ただ、歳を重ねただけだったのかもしれない。

そもそも、どうすれば、どこからが大人になるということなんだろう。



遊園地に向かう私の足取りは決して軽快ではなく。

肌にまとわりつく湿気は、益々私の歩みを遅くする。

すれ違う人が殆どいない道を歩きながら、私はただ正面に迫る遊園地の閉じられた門扉を見つめていた。

こんな形で再びここを訪れることになるとは思わずに。