彼と私の優先順位

「関係あります!」



急に声を荒げた溝口さんを驚いて見返した。

そこにいたのは私の知らない溝口さんだった。



先程までの強気な態度はどこへやら。

キュッと悔しそうに唇を噛みしめている溝口さんの姿は泣き出すのを必死で堪えているようにも見えた。

「……慧くんがこの間出張していたこと、ご存知ですよね?」

コクン、と私が頷いたのを見て、溝口さんは続けた。



「私、その直前に慧くんに告白したんです」

私の身体に一気に緊張が走った。

予期せぬ話に鼓動が速くなる。



この先を聞きたくない。

こんな形で。

私の気持ちを打ち砕かれたくない。



せめて。

慧の口から聞きたい。

そう思うのに。

口の中がカラカラになって。

座っているパイプ椅子から立ち上がることもできずにいた。



「……相変わらず冷静ですね」

悔しそうに溝口さんが下を向いて言う。

「そんなこと……ないよ。
ただ、溝口さんが告白することに反対する権利は私にはないから……」

乾いた唇を無理矢理動かして私は弱々しく返事をする。