彼と私の優先順位

「こちらです。
不備等ございましたら連絡をくださいね」

愛想よく茶封筒を渡してくれた女性はやはり溝口さんではなかった。



「かしこまりました。
ありがとうございます」

私が不思議そうな顔をしていることに気付いたのか、ショートカットの髪を耳にかけながら、中川さんが尋ねた。



「何か不備がございますか?」

「あ、いえ……あの、失礼ですが、溝口さんがいらっしゃるのかと思っていたので……」

「……溝口に何か業務指示をいただいてましたか?
スミマセン、溝口、本日お休みをいただいておりまして……」

申し訳なさそうに中川さんが私に謝る。

「あ、いえ。
違います、大丈夫です」

「体調不良と申してましたので、明日出勤可能かは不明なのですが……」



尚も申し訳なさ気に話す中川さんに、本当に大丈夫なので、と丁重にお伝えして自席に戻った。



……溝口さんが体調不良……何かあったのかな、大丈夫かな……。



溝口さんの調子が悪いときに不謹慎だけれど。

今の私の精神状態で溝口さんに会わずにすんだことにホッとする自分がいた。