彼と私の優先順位

仕事をしなくては、と力の入らない身体で自席に戻ったけれど。

数字を入力しても頭には入らず。

こんなことではいけない、社会人として失格だ、と自分を叱咤したけれど。



頭の中では溝口さんの言葉が何度もリフレインされていた。

そんな状態のまま時間が過ぎて、巴ちゃんと千恵ちゃんとの約束の時間になった。



外出先から戻ってきた笠井さんに、溝口さんの茶封筒を渡して説明し、お昼に行ってきますと告げた。



「結奈ちゃん、良かった。
間に合ったわ」



食堂のあるフロアでエレベーターを降りた時、後ろから肩をポンと叩かれた。

振り返った私の顔を見た巴ちゃんは。

「えっ、ちょっと結奈ちゃん?
顔色悪くない?
大丈夫?
風邪?」

そう言って、綺麗なベージュのネイルが施された手を私の額に当てた。
巴ちゃんの温かな手のぬくもりにジワリと涙が滲む。



「……巴ちゃん。
私、どうしよう……」

察しがいい巴ちゃんは、すぐに私の手を引っ張った。

「とりあえず、千恵ちゃんの所に行こう。
席を頼んであるから。
大丈夫?」

コクン、と私は頷く。

スマホを取り出して千恵ちゃんに場所を尋ねながら、巴ちゃんは私を席まで引っ張っていってくれた。



「お疲れ様ぁ……ってちょっと、結奈?
どうしたの?」

巴ちゃんと似たような反応をする千恵ちゃん。