彼と私の優先順位

「ふふ、知らないと思ってました?
二人が高校生の時に付き合っていたことは慧くんから聞いています。
私、ずっと慧くんが一人暮らしをするまで傍にいましたから。
ずっと慧くんを支えてきたんですから」

突然の溝口さんの言葉に驚く私を楽しそうに見つめて。



「……私の方がずっと慧くんを見てきたので。
慧くんを傷付けてばかりの紬木先輩より、私の方が慧くんを大事にできます」

「傷付けてなんて……」

「傷付けてますよね?
高校生の時、紬木先輩が慧くんを一方的に振ったんですよね?
慧くん、すごく辛そうだったんですよ?
なのに今更また、慧くんが先輩に気持ちがあるのを利用して付き合おうとするなんて、ズルくないですか?」



口元は笑っているのに、目が笑っていない溝口さん。

「あんなに辛そうだった慧くんが、今、その帳本人の先輩と本気で付き合っていると思えませんし。
昔の思い出を引きずっているだけです。
あ、もしかして同じ思いをさせたいだけなのかもですし」

溝口さんの言葉が鋭い刃のように私に刺さる。



「そんなこと、ない……」

茶封筒をギュッと握る。

「少ししか一緒にいたことのない先輩に、慧くんの何がわかるんです?
先輩、美人だし。
慧くん以外にもたくさん告白されたりしてるんじゃないですか?」



容赦ない言葉に、先日の同期会が頭をよぎる。



「そういうことなんで、私、諦めませんから。
先輩には慧くんを渡しません」