彼と私の優先順位

「……ごめん。
でも中途半端に話したら、結奈が気にすると思ったから」

「……仲がいいんだね」

「母親同士は仲がいいけど、俺は別に……ただ近所に住んでいた女の子って感じなだけ。
さっきも話したけど、高校も大学も違うし。
そもそも、うちの部で勤務していることも知らなかったし」

言いにくそうに話す慧。



慧の話を聞いている限りは、確かにただの昔からの知り合いのように見えるけれど。

昨日の私を見つめていた溝口さんの視線や今日の出来事を考えると邪推せずにはいられなくて。

どうしようもないことだし、慧は何も悪くないけれど、胸の疼きが止まらない。



「そう……なんだ」

それだけ言うことが精一杯。

モヤモヤした気持ちを慧にぶつけたくなくて。

私は努めて明るい表情で慧に話しかけた。



「ね、あっちのお店を見に行こう?」

「……結奈」

「……気にしてないよ、大丈夫。
幼なじみなんでしょ?
仲良くて当たり前だよ。」

「……俺が好きなのはずっと結奈だよ」

不意討ちの告白に赤面する私に。

慧は困ったように笑った。




「……真理に特別な感情は一切ないから。
真理とは仕事上の話しか、してないよ」

「うん……」

私は曖昧に微笑んだ。

胸の奥がザワザワするのを感じながら。