彼と私の優先順位

ニコニコと屈託のない笑顔を浮かべる溝口さんはとても可愛い。



「お二人はデートですか?」

絡めた指をチラリと見て溝口さんが私に尋ねる。

「そう。
だから、邪魔するなよ」

私の代わりに慧が答える。



そのぶっきらぼうな言い方に私は慌てて溝口さんに質問する。

「慧のカーテンを買いにインテリアショップに行ってたの。
溝口さんは?
お買い物?」

「そうなんです。
セールも始まってますし、夏物を買いに」

そう言って手にした紙袋を目の高さに掲げる。

「そうなんだ。
このビル、たくさんお店が入ってるもんね」

「ですよね!
そうだ、紬木先輩。
今度巴先輩達も誘ってお買い物に行きませんか?」

ニコニコと笑顔の溝口さん。



「結奈は俺と行くからいいの」

また慧が無愛想に返事をする。

「もうっ、慧くんには聞いてません!」

プウッと頬を膨らませて溝口さんは慧を軽く睨む。

慧は不機嫌そうに眉をひそめる。



「……慧、くん?」

溝口さんが言った一言を。

反芻して反射的に慧を見る。

確かに二人は同じ部署で働いているけれど。

いくら親しくても、ただの先輩と後輩でそんな呼び方はしない。