彼と私の優先順位

場所を移動して。

私がよく訪れる衣類関係の店舗が多い建物に足を踏み入れる。



土曜日の夕方前ということもあり、建物内には多くの買い物客がいた。

そのなかで。

慧はやっぱり注目を集めていた。



サラサラの柔らかい髪に薄茶色の瞳、長い睫毛。

スラリとした長い手足。

どこから見ても隙のないその容姿に、すれ違う女性達が振り返る。



指を絡めて繋いでる私までも注目されてしまって。

いたたまれない。

「……やっぱり、慧はもてるよね……」

溜め息混じりに呟いた私に。



「だから、俺は結奈にだけモテたいの」

苦笑しながら、甘い言葉を返してくる。

そういう問題じゃない、と私が慧を軽く睨み返した時。



「紬木先輩!」



背後から、可愛らしい女性の声が響いた。

振り返ると、溝口さんが紙袋を片手に立っていた。



肩にシフォン素材のピンク色のリボンが着いたボートネックのサマーセーターに淡いブルーの膝上丈のプリーツスカート。

昨日のワンピース同様、とても女の子らしいコーディネートだ。



「やっぱり、紬木先輩!
こんにちは。
昨夜は大変でしたよね。
大丈夫でしたか?」

「あ、うん……昨日はごめんなさい、迷惑を……」

「迷惑だなんて!
私は何もしてませんよ」