彼と私の優先順位

動揺してしまったのは。

不意に慧の話が出たからだけではなくて。



他支店である巴ちゃんが既に慧のことを知っていたこと。

慧の注目度の大きさを。

今更ながらに知ってしまったから。



巴ちゃんは同性の私から見てもとても魅力的で。

彼氏と長続きしないことが悩みらしいけれど、すぐに新しい彼氏ができる現状を考えると、それだけモテるということなのだろう。

たくさんの女性に魅力的に思われている慧。

その事実に私の胸がキュウッと痛くなる。



どうして、そんな慧が。

誰からも憧れの的の慧が。

今更私を好きだと言ってくれるのか。



慧を信じていないわけではないけれど。

ずっと好きだったと言ってくれた慧の気持ちを疑っているわけではないけれど。

再会して、仮、とはいえ彼女にもう一度なったということにフワフワしていた自分の気持ちが急激に萎んでいく。



ずっと会っていなかった慧。

ずっと会いたかった慧。

平等に過ぎた筈の時間が平等ではなかったのかもしれないと思う。



私はあの頃からまだ動き出せずにいて。

だけど慧は、ずっと先を歩いているような、そんな気がする。

成長すらできていない私の何を慧は気に入っているのだろう。

昔の面影だけを捉えていたのだとしたら?

今の私を知った慧は、幻滅しないのだろうか。