彼と私の優先順位

「カンパーイ!」

明るい声が辺り一面に響く。



金曜日の午後七時半。

飲食店が立ち並ぶ支店近くの商店街。

それぞれの店の照明が明るく、夕闇を照らす。

日が落ちても、うだるような暑さは続いている。



仕事帰りの人々の姿が目立つ、近所でも評判の焼き鳥屋さんで。

久しぶりに私は同期会に参加していた。



辺りに漂う香ばしい香りが食欲をそそる。

一階はカウンター席と幾つかのテーブル席。

調理場に近いカウンター席は煙で少しくすぶってみえる。

二階は落ちついた座敷があり、簾で間仕切りがされている。

階段に近い広めの一角で私達は今、乾杯をしたところだった。



「紬木が参加するの、本当に久しぶりだよなぁ」

「そうそう、誘っても結奈はいつも不参加だからね」

運ばれてきたばかりのレモンサワーを口にしながら、千恵ちゃんが相槌をうつ。

「……そんなに久しぶりじゃないけど……」



確か一年ほど前には参加した筈。

頭の片隅でそんなことを思い出していると、私の隣りにいた三橋くんが苦笑する。

「一年前は久しぶり、だよ」

考えていたことを当てられて、私は烏龍茶を飲んでやり過ごす。

「結奈はお酒飲めないからねぇ、まぁ、仕方ないっていったらそうなんだけど」

食べ物のメニューを渡してくれながら千恵ちゃんが笑う。