今改めて振り返ると、私の心は、この時、既に黒く染まっていたのかもしれません。



私は撫子を殺すことで、頭がいっぱいでした。なので、この先、自分がどうなってしまうかなんて考える余裕なんてありませんでした。



私の人生で一番夢中になったのは、きっと撫子を殺すことだったと思います。



撫子を殺したいという欲望を撫子を殺さなければならないという使命感に変えて、自分を正義に仕立て上げる。



でも、真の正義は、勝つことでしか証明できないのです。だって、この世は悪が勝つ世の中ではないのですから。



だから私が撫子を殺せないと、正義ではなく、ただの悪になってしまいます。そして、私を含めた3人を殺した殺人鬼、日野撫子が正義になってしまうのです。