ダサ倉君に焦がれたい







「今日は、僕たちのツアー最終日に来てくれて、ありがとう!」




ライブハウス中から悲鳴が上がる。




「毎度の人も、初めての人も、改めまして……『sand』です。

そして僕は、ギター&ボーカルのSU(スー)です」





再び悲鳴。

あたしの隣の人なんて、泣き叫んでいた。





だけど……

ふと思った。

なんだかこの声、聞いたことがある。

この、凛とした少しハスキーな声を!





あたしはSUをぽかーんと見る。

だけど、やっぱり見覚えなんてなくて。

むしろ、こんなかっこいい人、今までの人生で出会ったこともない。

やっぱりあたしの思い過ごしかな。

そんなことを考えるあたしなんかに構わず、SUのMCは続く。