「圭吾、つばさちゃんに何吹き込んでるの?」
彼は静かにぴしゃりと言う。
「ごめんごめん」
「ごめんじゃない。消えて」
朝倉君は冷めた声でそう言って、どすんと野菜をテーブルに置く。
なんだか朝倉君が怖かった。
そして、胸が痛かった。
朝倉君はこうやって必死に抵抗しているのだろうか。
だって、
「僕は一人でも構わないって言ってるよね」
やたら冷めたその言葉は、朝倉君が泣いているのではないかと思ってしまったから。
圭吾さんは朝倉君を大切に思っている。
それは確かだ。
でも朝倉君は……
圭吾さんにすら距離を置いているのかもしれない。
そんな朝倉君に寄り添ってあげたい。
一人で構わないなんて、本心じゃないよね?



